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側頭部からのFUE採取

側頭部からのFUE採取-見た目と技術の両面からのメリット

目次

FUE採取部位の選択肢と基本的な考え方

FUE(Follicular Unit Extraction)による自毛植毛は、髪を毛包単位でくり抜き、必要な場所に移植する方法です。一般的には後頭部中央上よりの毛髪が採取の中心となります。これは、後頭部中央の毛髪が遺伝的に男性型脱毛症(AGA)の影響を受けにくく、かつ太く丈夫で、うつ伏せでの採取の際、位置的に術者にとって採取しやすいためです。

しかし、1回目の手術で後頭部中央の多くを採取してしまった場合、2回目以降の手術では採取できる範囲が限られることがあります。このような状況や、見た目の改善を目的とするケースで、新たな採取部位として、同じく毛髪が遺伝的に男性型脱毛症(AGA)の影響を受けにい、側頭部が有力な選択肢になります。

側頭部採取がもたらす美容的なメリット

薄毛で悩む方の多くは、前頭部や頭頂部は薄くなっていても、側頭部には毛量が豊富に残っています。その結果、横の髪が“もりっと”張り出し、頭全体のシルエットが横に広がって見えることがあります。
美容院や床屋でも、この膨らみを抑えるために「すいてください」と注文される方は珍しくありません。側頭部からFUEで毛を採取すると、この横のボリュームが自然に減り、頭部の輪郭がすっきり見える効果が期待できます。

さらに、側頭部の皮膚は採取後も周囲との色調差が出にくく、多少まとまった本数を採取しても「取られた跡」が目立ちにくい傾向があります。これは後頭部中央に比べ、毛髪と皮膚のコントラストが弱いことが影響しています。手術後の見た目を気にされる方にとっては、大きな安心材料になります。

側頭部採取の技術的な難しさ

ただし、側頭部の採取は後頭部と比べて難易度が高いのも事実です。側頭部の毛はやや細く、毛根が皮下で大きくカーブしていることが多いため、直線的なパンチ動作では毛根を損傷してしまいやすくなります。
また、毛包の向きや角度が部位ごとに微妙に異なり、採取する位置や深さを細かく調整しなければ、健康な毛根を無駄にしてしまう可能性があります。こうした理由から、無駄なく採取するためには毛根の走行を正確に見極める経験と、高度な器具操作の技術が求められます。この難しさから、積極的に側頭部採取をすすめるクリニックは限られています。

Portrait of beautiful female doctor surgeon putting on medical gloves standing in operation room. Surgeon at modern operating room

私の臨床経験とこだわり

私は自らも薄毛体質であり、側頭部のふくらみが気になる一人です。そのため、側頭部が減ることで得られる見た目上のメリットを、自分の頭で実感しています。
過去10年以上にわたり、側頭部採取における細かな技術を追求し続けてきました。特に、毛根の角度が複雑で採取が難しい側頭部前方や、耳の上から上方にかけてのエリアも、的確に毛包をとらえて採取することが可能です。これにより、側頭部のほぼ全範囲、耳の前から上方7〜8cmに至る範囲まで、安全かつ効率的に採取する技術を確立しています。

実際、2回目以降の植毛手術や、横のボリュームの改善を希望される患者さんには、この側頭部採取を積極的にご提案しています。移植のための毛量を確保しつつ、横幅のシルエットを抑える二重の効果が期待できるためです。

まとめ ― 側頭部採取という選択肢を知ることの重要性

植毛というと「後頭部から毛を採る」というイメージが一般的ですが、側頭部も立派なドナー源になり得ます。特に、耳の前方やその上のエリアまで採取可能であることを知っておくと、手術計画の幅が大きく広がります。
もし2回目以降の植毛や、横の膨らみを改善したいという希望がある場合は、側頭部採取を選択肢の一つとして考えてみることをおすすめします。

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Yuya Narui
植毛医歴11年、毛髪の探求から身体の摂理を学び、毛髪・身体・自然の相似性に魅せられて学びの道を歩んでいます。
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この記事を書いた人

植毛医歴11年、毛髪の探求から身体の摂理を学び、毛髪・身体・自然の相似性に魅せられて学びの道を歩んでいます。

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